2010年01月15日

腎臓移植の生着

根本的な治療法が他になく、透析治療を長年にわたって続けている慢性腎不全(まんせいじんふぜん)の患者さんにとって、腎臓移植は、貴重な根治療法です。
移植の成功率、つまり「生着率」は、腎臓を提供する人(ドナー)と、腎臓の提供を受ける人(レシピエント)の、血液型適合性と組織適合性のHLA抗原(こうげん)の相性できまります。意外に思われるかもしれませんが、血液型は、ABO式血液型が適合していれば大丈夫です(最近では、血液型が異なっていても移植が可能な場合もあります)。

HLA抗原の相性を決定する遺伝子(人間の場合は、6番目の染色体にある遺伝子)は、親子間では、半分の遺伝子が一致します。きょうだい間では、半分の遺伝子が一致する人が50パーセントで、完全に一致する人が25パーセント、さらにまったく一致しない人も25パーセントいます。

当然のことながら、きょうだい間の完全に一致する人同士の腎臓移植は、成功率が高く、生着率が90パーセントにのぼります。
一方、半分の遺伝子が一致する、親子間、あるいはきょうだい間では、かつては50パーセント強程度でしたが、最近ではさまざまな方法:1.あらかじめ腎臓の提供者から輸血をしておく、2.移植後の免疫抑制薬の使用を工夫する、などの方法によって、現在では90パーセント近くにまで生着率を高めることに成功しています。

ただし、腎臓移植後、免疫抑制薬は一生必要となります。臓器に対する拒絶反応を抑制すると同時に、感染症に対する抵抗力も奪ってしまいます。そのため感染症の治療や、免疫抑制薬そのものの副作用との戦いが続くことになるのです。



Posted by エイタ at 11:53

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